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歴史・時代小説3 : は行の著者
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歴史・時代小説3 > は行の著者
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歴史・時代小説3
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日記・書簡

ねこのば (新潮文庫)


畠中恵
¥ 500 通常24時間以内に発送
★★★★

ねこのば (新潮文庫)
しゃばけシリーズ第3弾。相変わらず一太郎の周りで起きる様々な事件を妖(あやかし)の手を借りながら解決していく。 ちなみに、一太郎の問題解決手法は、コンサルなどでも使われる。 ・FACT(事実)を列挙する。 ・仮説を立てて、それが矛盾が無いかを他のFACTを元に検証する。 現世に生まれていたら、良いコンサルタントになれたかもしれませんね。「しゃばけ」シリーズ第三作。初作に比べ精神的に逞しくなった若旦那と"妖"達の楽しい掛け合いを通して、人生の機微を木目細やかに描いた快作。短編ミステリ集の趣きが色濃くなった。 「茶巾たまご」は海苔屋の娘の殺人事件を、料理書「卵百珍」、栄吉が用いる分量書からの巧みな連鎖で解決する展開が秀逸。若旦那が拾って来た金次なる男の正体は、読者にとって自明だが、ご愛嬌か。「花かんざし」は可愛い迷子を発端にした悲劇だが、結末が安易に過ぎる。"人は外見よりも内面"と言うサブ・テーマが良いだけに、一捻り欲しかった。タイトル作「ねこのばば」は若旦那の遊び道具"桃色の雲"の紛失、猫又になりかかった古猫の幽閉、広徳寺での僧侶殺人事件を巧みな構成で一点に収斂させた秀作。"覆水盆...

うそうそ


畠中恵
¥ 1,470 通常24時間以内に発送
★★★★

うそうそ
シリーズ物なので、楽しみにしている人にはこれでもいいのかもしれないが、小説としては、色々な意味で弱い。 導入部から旅に出るまではまあまあ読ませるが、その後の謎解き部分の説得力が弱い。 新たに登場してくる人物の造形も弱く、魅力が感じられない。風景描写や雰囲気描写もいま一つである。 無理して長編にしなくても、いつもの短編集でよかったのにな、とやや残念である。今回シリーズ久しぶりの長編ということで、期待して読んだ。 いつも通りのふんわりほのぼのとした空気は健在で楽しかった。 しかし、天狗たちやお比女といった脇役たちがこの空気を殺伐としたものに少し変えてしまったがある。 でもカバーもきれいだし、手元においておきたい一冊ではある。 題名も面白い。展開も今までとは異なり、物の怪と神様、姫神様・天狗まで出てきて、「おやおや、はてな」というところ。興味を抱かせる「掴み」までは良いのだが、最近の作品は説明や辻褄会わせ、続編というか、シリーズものとしてのマンネリが増えてきたように思う。 固定客のファンは、以前からの流れを承知で読んでいるからまあ良いようなものの、それに甘えた展開。この作品そのものの持つ...

ぬしさまへ (新潮文庫)


畠中恵
¥ 500 通常24時間以内に発送
★★★★★

ぬしさまへ (新潮文庫)
「しゃばけ」シリーズの第2弾。小編6部作。 長崎屋の若だんな「一太郎」が、知恵を効かせてさまざまな事件を解決する。まあ、ある意味江戸時代を舞台にした推理小説っぽく、また、妖(あやかし)が登場するファンタジー的な小説である。 軽い気持ちで読み進むことが出来、しかも、なんか、のんびり、ほのぼのとした気持ちになれる。 また、江戸時代の人々の生活も付加価値的に読み取ることができるのも良い。 「しばけ」に続くシリーズ第二作。趣向を変えて短編集にしているが、相変わらず若旦那と御馴染みの"妖"達のユーモラスな掛け合い、江戸の風情が味わえる。 タイトル作「ぬしさまへ」は"妖"ならぬ人の中に棲む鬼を題材にした皮肉な作品。安楽椅子探偵を演じる若旦那は颯爽としている。「栄吉の菓子」は栄吉が作った饅頭を食べた隠居老人が亡くなると言う発端で大いに笑わせてくれるが、解決には無理があろう。最後の栄吉の哀感が印象に残る。「空のビロード」は若旦那の兄の松之助が主人公。犬猫連続殺害事件を発端にして、人間の持つ悪意と善意、生きる希望と宿縁を巧みな構成で描いた秀作。「四布の布団」は一人の人物の人生観に翻弄される周囲の人々...

しゃばけ (新潮文庫)


畠中恵
¥ 540 通常24時間以内に発送
★★★★

しゃばけ (新潮文庫)
前に聞いたことがあるが、実際に読んだら、なんとこんなに面白いとは思わなかった。妖と人との間の共存がうらやましい。明るくて軽いので、落ち込んだ時、「しゃばけ」は一番!今まで海外作家の恋愛小説しか読んだことがなく日本人作家でしかも 時代小説となるとページをめくってもテレビの時代劇の様が拭いきれず 数ページでダウンしてしまう私でしたが…。 畠中さんの【しゃばけ】は全然違いました。 ミステリー仕立てではあるものの可愛らしくもあり怖ろしくもある妖たちと この種の本にありがちな強いヒーローではなく病弱にして過保護の若干17歳の 一太郎という主人公が織りなすファンタジーの世界にぐいぐい引き込まれて行き あっという間に一気読み。 大人も子供も楽しめる素敵な物語に感動しました! 物語の形としてはありがちなものだ。 ただ、この物語をより楽しめるものとして、彩ってくれているのが妖たちである。 手代の二人はもとより、鳴家(やなり)や屏風のぞき、鈴彦姫といった脇役たちが にぎやかで楽しい世界を演出してくれる。 このものたち見たさに続編を読みたくなってしまう。どうやったら、妖怪が人間の暮らしに紛れ込...

天地人〈上〉


火坂雅志
¥ 1,890 通常24時間以内に発送
★★★

天地人〈上〉
とにかく作者の直江兼続への思い、が凄い熱量となって、押し寄せてきました。 この世知辛い現代に、兼続のように「義」に生きる潔さを考えるきっかけを与えてくれた本書に感謝します。 普段はあまり歴史小説を手にしないのですが、読みやすい文体で引っ張られました。 小説はあくまで作者の作り話であるということは、歴史小説も変わりないだろうと思いますが、 ここまで痛快に直江兼続というヒーローを作り上げたということに価値があるのではないかと思います。 「愛」の前立ての兜、部屋に飾りたくなりました。 大河ドラマを見る前に読むことをお勧めします。歴史に詳しくない人には直江兼続? 誰じゃそりゃ、というところです。(まあ主の上杉景勝は何となくわかりますけど)。大河ドラマの主人公としての知名度も原作者の名前もあまりメジャーではありませんが(失礼!)、ここのところNHKは従来の路線から大きく舵を切ったようですね。 主家を立てるために欲得を捨てて奔走するといった兼続の生き方は、義に生きるというのが表に出すぎて、エコノミックアニマル日本人には受け入れがたい気もしますが、前々作の山本勘助の「風林火山」を見ていた人には、G...

天地人〈下〉


火坂雅志
¥ 1,890 通常24時間以内に発送
★★★★

天地人〈下〉
現代的な感覚がかなり加味されていると思いました。長いけれども、一気に最後まで読めてしまいます。大河ドラマになるのも、うなずける気がしました。いい男の直江は誰がやるんでしょうか。(とはいえ、本の読者層としては、男性向けか。) 起承転結のあるストーリーと人物のドラマチックさ。それと、経済解説も面白かった。 歴史小説が苦手な人でも、入りやすいのではないでしょうか。細かい歴史は知らなくても、普通の小説としても読めるタイプの本だと思いました。火坂さんの本のなかで、いちばん面白かった。 「天地人」は新聞連載中も興味深く読んでいたが、改めて単行本を読んで感激しました。 作者の筆がスムーズであることもあるが、直江兼続を何としてでも書きたいという作者の意欲がビンビン伝わり、その心意気に一気呵成に読み上げてしまったというのが実情です。その中核は「義」とは何かです。 今、日本人が失いつつある義というものを、謙信をして「人が人であるための心得だ、義なく ば人はただ欲にまみれ野の禽獣と変わらなくなるだろう」と言わしめ、それを兼続に引き継がせています。 この一点をとってもここ数年に無かった出色の素晴らしい歴史小...

風の果て〈下〉 (文春文庫)


藤沢周平
¥ 500 通常24時間以内に発送
★★★★★

風の果て〈下〉 (文春文庫)
同じ道場に通う身分や性格が全く違う5人の仲間。その半生を描いた長編小説です。重苦しい気分にさせる結末になってしまったけれど、それぞれが翻弄されながらも信念を貫いた結果なのかな。何が正しくて何が間違いなのか…望みを叶えるには敵は増えるし犠牲をはらわなければならない。今の時代にも共通するような生きにくさを感じました。隼太が主人公として描かれているけど、庄六が主人公だとまた一味違った話になって面白いのでは?と思います。若者達は世の中へ巣立っていく。互いの信念を基に。信念は生き様であり、物語は各々の生き様そのものが交錯していくことで進んでいく。上巻での謎は徐々に明らかにされていく。結末は予想通りだが、そこに至る真実の意外性は圧巻。私が藤沢作品に求めるものは「人生を知る大人の姿」しかしながら、本作品を読み、人生を知ることの奥深さを再認識するとともに、大人になるために乗り越えなければならない試練の重さと、それを乗り越えるためには知恵を持たなければならないことも痛いほどに感じた。予想通りの最後の章ではあった。しかし、予想と違ったのは、あまりにも多い。たとえば、「権力に近づいて、腐りはてるのがおぬし...

新装版 雪明かり (講談社文庫)


藤沢周平
¥ 750 通常24時間以内に発送
★★★★★

新装版 雪明かり (講談社...
四十を超えて初めて読んだ時代劇小説です。 暇つぶしに手に取った文庫でした。 しぶい。とてつもなく、しぶい。 チャンドラーやエルロイや北方(現代もの)とも違う、人間の襞の描き方。 心に染み入る文章とはこのような文章なのでしょう。 日本のハードボイルドとは、時代劇にあったのですね。 「穴熊」は、まさに絶品でした。 潔癖、完全は、時に、絶望的な自己満足になってしまうということが、 悲しくもあり、高貴にも感じました。 藤沢周平を読まなかったことを悔やみ、読んだ偶然に感謝します。 どの短編も傑作ぞろいでひとつとしてはずれは、ない(当然だが)。 その中でも 「入墨」・「潮田伝五郎置文」・「穴熊」の3篇の切なさを味わって欲しい。 この3篇は主だった登場人物それぞれが、他人を思いやることで切なさを訴えてくる。 「切ない」・・・よく聞くし、使う言葉であるが、 この3篇で本当の「切なさ」ということを知ったように思う。 主人公だけでなく、さまざまな登場人物の気持ちになって これら短編を味わいつくして欲しい。 何度も読まないと、そのよさすべてが、わからないだろう。 藤沢周平って、やっぱり多感な高校生の頃...

刺客―用心棒日月抄 (新潮文庫)


藤沢周平
¥ 620 通常24時間以内に発送
★★★★★

刺客―用心棒日月抄 (新潮...
妻ゆきとの平穏な日々も束の間、青江又八郎は再び密命を帯びて三度脱藩、再び江戸へ赴く。 藩転覆を阻止するため敵を探すが、やはり路銀は多くなく、用心棒家業を勤めながらとなる。 女嗅足の佐知との惹かれ合う想い、同じ用心棒家業の細谷源太夫、米坂八内との悲喜を通じて江戸の市井が目の前に広がる。 シリーズ三作目で前二作と同様藤沢周平の世を存分に楽しめる作品。「用心棒日月抄シリーズ」第三作。初作では完全な脇役、第二作では準主役だった佐知が、本作では青江又八郎と並ぶ主役と言っても良い程スポットライトを浴びる作品。 青江の藩のお庭番と言って良い「嗅足組」。その頭領の娘が佐知だ。藩を影から操ろうとする、現藩主の伯父は自身の権力増強を図るため「嗅足組」を潰す目的で五人の刺客を江戸に放つ。このため、青江は又々脱藩し江戸で用心棒稼業を始める。勿論、江戸で青江と佐知は邂逅する。まるで佐知のために用意されたかのような物語設定である。口入屋吉蔵の狸親父ぶり、細谷の自堕落だがどこか憎めないおトボケぶりも健在である。だが、前二作に比べ、市井の人情を描く度合いは減って、青江(+佐知)vs刺客の凄まじい対決、青江と佐知の...

風の果て〈上〉 (文春文庫)


藤沢周平
¥ 540 通常24時間以内に発送
★★★★★

風の果て〈上〉 (文春文庫)
組織の中でたくましく生き抜き、より高い生活を目指すと非情にならざるを得ず、それを追っていくとどこからか自分を呼び戻そうとする声が聞える。「お前はもっと純粋で、人への思いやりがあったではないか」と。その声の主は少年時代の自分であり、貧しくとも素朴で温かい心を持ち続けている友であったりもする。栄華を極めてもなお足るを知らない人間の寂しさ、むなしさは現代の我々に通じるものです。あえて甘さを加えないようにしたことできりっとした見事な作品に仕上がっています。過去と現在を行き来しながら、人の移り変わりを描く構成力、洞察力はすばらしいと思います。NHKの佐藤浩市主演のドラマも上出来でした。蝉しぐれもいい作品ですが、60歳代になった私はどちらかといえば風の果ての方が好きです。代小説ではあるが、現代にも通じる話です。 主人公は隼太(桑山又左衛門)ですが、話は隼太と言っていた、まだ養子に行く前の仲間たちとの話です。一緒に飲み食いし、一緒にいたづらをし、同じ女性に憧れた、そんな気の置ける仲間たちです。その彼らが成長し、それぞれの役割を持ち、立場も違ってきます。主人公が家老職についた時、何人かは死んでお...

隠し剣秋風抄 (文春文庫)


藤沢周平
¥ 620 通常24時間以内に発送
★★★★★

隠し剣秋風抄 (文春文庫)
「隠し剣」シリーズ第二段。主人公達の秘剣と男女の機微の融合が本シリーズの特徴だと思うが、本作は女性の魔性と清廉さを対比して鮮明に描いている印象。 「酒乱剣石割り」は酔う程に剣技が冴える主人公が痛快だが、さして効果的とは思えない主人公の妹の淫乱な転落物語を挟む所が本作の趣向か。「汚名剣双燕」は驕慢な女に振り回される主人公の悲哀に忸怩とさせられる。「女難剣雷切り」は女運の悪い主人公がコキュ役まで演じさせられる悲哀を滑稽味の中に描いたもの。「陽狂剣かげろう」は藩主の息子に許婚を奪われた主人公が陽狂を装っているうちに、本当の狂気に陥ってしまう様を描いた異色作。前二作と合わせ、現代にも通じるテーマが続く。「偏屈剣蟇ノ舌」は偏屈者の藩士を扱って「たそがれ清兵衛」を思わせるが、偏屈者だからと言って刺客役を仰せつかる構想は無理があろう。「好色剣流水」は主人公が本当の好色なので読んでいて共感が沸かない。女性だけでなく、男性の色欲と堕落を描こうとしたものか。「暗黒剣千鳥」は藩の権力闘争を背景に、主人公の婿入り話と暗殺劇を巧みに織り交ぜた佳作。「孤立剣残月」は過去に上意射ちを行なった主人公が四十を過ぎて...

時雨のあと (新潮文庫)


藤沢周平
¥ 500 通常24時間以内に発送
★★★★

時雨のあと (新潮文庫)
下級武士や市井の人々など、身近な存在の人々に 視点をあわせ、人々の心のひだを綴っている彼の作品は 私たちにとって身近なようでいて、とても遠い。 人は根本的に変わらない。 弱くずるく、でも暖かい。 だが、その温度は時代ごとに異なるのだ。 人への関心具合。自分の弱さ、ずるさに対する恥じらい。 異性を恋しいと思う気持ち。 そこには確かに、今の時代、なかなか見つけられない感情があふれている。 そして、そういった感情や風景に触れることで 生まれる懐かしい暖かい気持ちを求めて、 私は藤沢周平の作品向かうのである。短編集では「神隠し」がピカイチ!と思ったが、 何の!この「時雨のあと」はいいなー。 東西両横綱と言った感じでしょうか? ■お薦め度&評価: ★★★★★(満点!) これは「超・お薦め」 ■「雪明り」 映画「隠し剣 鬼の爪」は、藤沢周平作品の3作を合わせた内容だった。 その1作がこれ。前にも読んだが、いい話で泣けちゃいます。 「由乃は跳べと言っている」・・・・「いま、跳んだのか?」 その勇気は、若さか? いいなー ■ 「闇の顔」 この7話の中では長編。読み応...

漆の実のみのる国〈下〉 (文春文庫)


藤沢周平
¥ 540 通常24時間以内に発送
★★★

漆の実のみのる国〈下〉 (...
史実系の歴史小説ファンですが、藤沢周平は初めて読みました。 貧乏な名門の米沢上杉家をなんとか改革しようという物語ですが、 改革はあまり実にならず、最後まで結果は出ません。上杉鷹山について 読みたかったんですが、いわゆる寛三の改革の結果が出る前に物語が 終わっています。 まあ面白いし読みやすくもありますが、歴史小説としては文芸臭いというか 爽快感が少なくて、あまりオススメできません。藤沢周平作品は短編を多く読んでいますが、この作品は少し他に比べ難しい。 貧乏藩・米沢藩の執政による藩政のお話しです。 いかにして藩に富をもたらし、謝金をしのぐか。 借金返済のために導き出した人材・能力・計画、 それに対する反感と現実。 重荷を背負う人間の心情もまた見所です。 男女の愛や家族愛などは殆どありません。 華美されがちな藩上部の苦悩と現実、代わりゆく時代に溺れる人物像が現れています。 難しいと感じつつも、読む内にどんどんはまっていきました。 最後まで書き終えることなく逝った、藤沢周平の遺作です。 彼の見てきた江戸時代を感じる事が出来る小説です。

漆の実のみのる国〈上〉 (文春文庫)


藤沢周平
¥ 540 通常24時間以内に発送
★★★★★

漆の実のみのる国〈上〉 (...
上杉鷹山に関する小説です。関ヶ原前後からの上杉家の動向など詳しい背景の説明があり理解が深まって満足しました。 具体的に、会津から米沢への転封後石高が大幅に削られたのにも関わらず、 家臣の数をほとんど減らさずに抱えてきたために、またその他諸事情により藩経営が窮地の状態であるという事などです。 役職名の列挙などやや詳しすぎて冗長になってしまっている点もありますが、 背景が分かってこそ現在の状況の深刻さが窺えると感じ、他の鷹山の小説を読んだ時に何となく釈然としなかった気持ちが晴れたような気がします。 側近と鷹山の幾多の苦労がなかなか報われず、さあ今度こそ、というところで残念ながら話が終わっていますが心に残る素晴らしい作品だと思います。ここでまさかこの歌に出合うとは全く予想しておらず、びっくりした。思わず本の角を折りました。 「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」 上杉治憲の信念を託した和歌(藩主引退後の号:鷹山) 藤原周平さん69歳、この作品が最後となり1997年1月亡くなりました。残りの原稿40枚に対し、体力が持たず書斎にあがる力も無い中、食卓で6枚を書き上...

凶刃―用心棒日月抄 (新潮文庫)


藤沢周平
¥ 620 通常24時間以内に発送
★★★★★

凶刃―用心棒日月抄 (新潮...
最後の用心棒稼業から16年。青江又八郎は嗅足組解散の密命を帯び出府、今度は公務として江戸へ向かった。 しかし、嗅足組み解散には藩の存亡に関わる秘密が根深く絡み、公儀隠密を巻き込んでの暗闘に巻き込まれることとなった。 女嗅足の佐知との時を経た再とお互いの想い、藩に召し抱えられたはずの細谷源大夫の生き様など時を経てそれぞれの人生が浮き彫りになる。 前3作に比べると、藩の政争に絡んだサスペンスの要素が強く、秘密の解明にたどりつく一つ一つの段階が面白い。 また前作から引き続き登場する佐知や細谷といった人物の生き方にも最後まで目が離せない。 徳川吉宗の時代を武家や商人といった視点で江戸の市井を描くどっしりとした時代小説。 藤沢ワールドの傑作です。 「用心棒日月抄シリーズ」最終作。前作から16年の時が経ったという設定で、青江又八郎が四たび江戸に出向く所から物語は始まる。目的は「嗅足組」の解散を佐知に秘密裏に伝えるためである。前三作は短編集形式だったが、本作は長編形式であり、作品の趣きも異なる。 事件としては、幕府隠密、藩内の影の敵との三つ巴の対決だが、全編を覆うのは老いとそれにめげずに生きて行...

三屋清左衛門残日録 (文春文庫)


藤沢周平
¥ 620 通常24時間以内に発送
★★★★★

三屋清左衛門残日録 (文春...
2008年の水無月は、胸の痛む通り魔事件や東北の地震など切ない月でした。物価も値上げ値上げできゅうきゅうしております。働き盛りの40歳、後を振り返る暇もなく毎日が過ぎてまいります。 御用人時代の三屋清左衛門も、そんな心持だったのでしょうか? 日残りて昏るるに未だ遠し・・・。 なんと読みやすく、そして清左衛門の爽やかな人となりなのか。澱みに浮かぶ権力争い。三屋清左衛門 が切れ者として重宝がられるのも、その柔軟な姿勢と剛健な精神のバランス感覚に優れたゆえんではないかと思うのです。権力争いばかりではなく、夫婦の心、友のこと、泣き妻への悔恨に漣立つ心。三屋清左衛門は隠居しても慕われ、なお諸事に力を尽くし、何より「梅の一枝」にさえ命をいとおしむ。 昨年、本当に遅ればせながら「蝉しぐれ」をドラマで見、そして原作を読み藤沢周平の世界に入ったばかりの新参者です。三屋清左衛門残日録もドラマと並行して原作を楽しむ至極の時間を味わえました。 このような味わい深い作品に出会えて幸せです。 こんな年寄りになりたいものです。諸事に力を尽くし、何より「梅の一枝」にさえ命をいとおしむ心持 。それは遥か先のこ...

日暮れ竹河岸 (文春文庫)


藤沢周平
¥ 500 通常24時間以内に発送
★★★★★

日暮れ竹河岸 (文春文庫)
この単行本は藤沢周平さんが亡くなる前年に刊行された本。なかなか感慨深い。 私の購入した文庫本の帯には、「最晩年の記念すべき名品集!」となっている。 この本に収録されている短編は大きく2つに分かれ、 ■江戸おんな姿絵十二景:12編 ■ 広重「名所江戸百景」より:7編 市井もの短編 計19編収録。 どれも10〜15ページほどの短い小説であるが、短編ながら起承転結が完璧。 また、短いながらもスケールが大きく、 「よくこの長さで話をまとめるよなー」と感心させられる。 どれもこれも1級品であるが、なかでも特に 「雪の比丘尼橋」はすごい。 たかだか14ページ。しかし帰宅の地下鉄の中、思わず涙ぐんでしまったのは他でもない私です。「ほんと、参っちゃうよなー」という感じ。言葉がありません。 ■内 容: 若い時から好き勝手やってきた老いぼれ爺が、小銭を手にして酒を飲む。ついつい自分の非力も省みず勢いで喧嘩をふっかけ、こてんばんにされて雪の中に放り出される。目の前には先に逝ったばあさんが、「若いうちは良いんだよ、若いうちは・・」と。血だらけになった身体を引きずり、どうにか誰も居ない家までたどり...

市塵〈上〉 (講談社文庫)


藤沢周平
¥ 600 通常24時間以内に発送
★★★★★

市塵〈上〉 (講談社文庫)
徳川綱吉と吉宗の間に位置する時代、綱吉の次の将軍として甲府藩主から家宣が選ばれる。甲府藩の儒者であった新井白石は甲府藩の家老間部詮房とともに江戸へ上り政治改革を進めてゆく。 現代においてその政治改革に賛否両論ある新井白石を、甲府藩時代から家宣、家綱に至るまでを描く、政治を中心とした作品。 将軍家お抱えの林家との軋轢、勘定奉行萩原重秀の罷免、家綱の継嗣問題といった政治的に非常に敏感な問題を白石の鋭敏な頭脳が裁いてゆく。 単に剣をペンに変えて語るといったものではなく、政治をめぐる駆け引きや対立する側の対面といった細かい描写を論理的に解決していく姿に非常に憧れをも感じる。 また一方で著者自身の深い分析も端々に入っていて、非常に頭を使うのだが、読みやすいので楽しんでこの時代の政治を理解できる面白い一冊。欧米由来のものをありのままに受け入れやすい風潮が根強い。この本を読むと、キリスト教の教えに潜む欧米列強の野望を見抜く日本人がいたことに関心させられる。しかも、ただ見慣れぬ宗教だからというだけで、遠ざけたのではない。今の知識人に主人公新井白石と同レベルの卓越した、識見と先見の明のある人がいればい...

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)


藤沢周平
¥ 580 通常24時間以内に発送
★★★★★

たそがれ清兵衛 (新潮文庫)
時代小説にまつわるイメージによって この種の小説をなんとなく遠ざけていたのですが…。 素直に面白かったです。 若い人が読んでも、楽しめる。 エンターテイメント小説だと思います。 (そんな風に言ったら、失礼かもしれませんが) 内容については、私は、この小説をヒーローものとして捉えました。 冴えない主人公が、実は抜群の能力を持ち 多くはないが誰かのヒーローとなる。 そのカタルシスがたまらないです。 今まで時代小説として敬遠してしまっていたことが、 もったいなかったと思わせる小説でした。普段見栄えがしない人物がイザと言う時スーパー・ヒーローに変身し、颯爽とした活躍を見せる...。現代にも通じるこの御伽噺的願望を時代小説の中で飄々とかなえてくれる連作短編集。弱者への温かい眼差しと権力への反骨心が滲み出た秀作。 タイトル作「たそがれ清兵衛」のテーマは夫婦愛。病妻の看病のため毎日定時で下城し、"たそがれ清兵衛"と陰口を叩かても主人公は厭わない。そして藩の大事にはさり気なく活躍する。更に活躍後も褒賞より愛妻を大切にするのだ。「うらなり与右衛門」は"うらなり"顔の主人公の浮気疑惑と義憤...

新装版 風雪の檻―獄医立花登手控え〈2〉 (講談社文庫)


藤沢周平
¥ 560 通常24時間以内に発送
★★★★★

新装版 風雪の檻―獄医立花...
「獄医立花登シリーズ」第二作。本シリーズに接した際、作者のアイデアには感心したものだ。小伝馬町の若き監獄医を主人公にするという発想がまず素晴らしい。その立場から、囚人達の悲哀に満ちた人間模様に触れ易いし、それが作者の鋭い観察眼によって人間ドラマになる。更に、場合によっては事件に関る可能性も高い。実際、囚人に頼まれ、しばしば事件に関る。その際、身を助けるのは冴えた頭脳と柔術。人情物と推理物が無理なく合体しているのだ。 また、立花の人が良くて清廉だが押しの弱い人物設定と虐げられた家庭(?)環境が笑いを誘い、上述の事件性と絶妙なバランスを取っている。ハンサムで女性にモテる容姿を持った獄医名探偵でありながら、居候の身故、家では肩身の狭い思いをしている。本当に巧い設定を考えたものだ。本作では、素行不審の柔術仲間の身の上の心配と押し付け(ではないかもしれない)許婚の話が中心だが、ここでも事件性・人情話・身内の笑い話で巧みに話が構成されている。シリーズの中では、獄中で立花が女囚と交情を交わすシーンもあるのだが、恐らく江戸時代の獄医に女医はいなかっであろう事を考えると、あり得た話かもしれず、作者...